ゆほびか ゆほびか
  • 文字サイズの変更
  • 大
  • 中
  • 小
  • SNS
  • twitter
  • facebook
  • instagram

【長生き】【がん予防】【宇宙体操】渋沢栄一の孫が実践!台湾の伝説の行医から教わった長生き体操(その①)

 日本資本主義の父・渋沢栄一は享年91歳という長寿でした。

 長寿の秘訣は、晩年、「このおかげで健康でいられる」とまで言わしめた健康体操「坂本屈伸道」です。

 そして、渋沢栄一の晩年を直接知る孫の鮫島純子さんは、現在98歳ですが、そうは思えないほどかくしゃくとしています。聞けば、「防がん宇宙体操」という健康体操を続けてきたとか。

「坂本屈伸道」と「防がん宇宙体操」——それらに込められた共通の思いに、長寿を実現する極意を探ります。

祖父・渋沢栄一の長生き体操と私が実践する長生き体操はとても似ている

下の写真で、渋沢栄一に頭をなでてもらっているのが、幼い日の私です。

 これは昭和2年、日米親善人形交流のセレモニーに出かける前に撮られたもの。当時4歳の私は、日米友好の証としてアメリカから贈られた「青い目の人形」を受け取る祖父に連れられ壇上に上がりましたが、カメラのストロボの音と白煙が怖くて泣き出してしまったことを覚えています。

 改めてこの写真を見ると、せっかく祖父が慈愛深い眼差しで私を見ていますのに、本人は知らん顔でそっぽを向いています。いつもご先祖さまが温かく見守っていてくださるのに、そのことにまったく気づかない人間たちの姿を象徴するような写真ですね。

 渋沢栄一は昭和6年、91歳で亡くなりました。当時、私は9歳でしたが、晩年の姿や最期の様子を鮮明に覚えています。今では、私は祖父と直接肌を触れ合い話をした唯一の生き残りと思います。祖父の年齢をとうに超え、今年の9月で99歳になります。長生きしようと思ったことは一度もありませんが、心身健康でいたいと思います。渋沢栄一の素顔を知る「語り部」としてのお役目があるのかもしれません。

 祖父が晩年を過ごした東京・王子の飛鳥山の家は、私が生まれ育った家から歩いて5、6分のところにあり、幼い頃から遊びにいくのが通例でした。祖父の屋敷は広くて、鬼ごっこやかくれんぼにもってこい。土日になると同じ年頃のいとこたちと合流して遊ぶのが楽しみでした。

 その頃の祖父はいつも和服姿で、籐の椅子に腰かけて、私たちが遊ぶ姿を黙ってニコニコと見ていました。「ごきげんよう」とあいさつをすると、「よう来られたな」と言いながら孫たちの頭を1人ずつなでて、おきまりの榮太郎の梅干しあめを口の中に入れてくれたのが、うれしかった思い出です。

 もちろん、まだ子どもでしたから、祖父が日本の近代化に貢献した経済人であることなど知りません。

「私のおじいさまは、どうやらすごい人らしい」とわかったのは、祖父が亡くなるときでした。

 お通夜は4日間も続き、葬儀の日には天皇陛下の勅使がいらして、陛下のお言葉を読み上げました。

 特に深く私の心に残っているのは、合掌して霊柩車を見送ってくださるかたがたが、飛鳥山から青山斎場までの沿道を埋め尽くしておられたことです。「おじいさまは、すごい人だったんだ」と思いました。

それからしい動作はしていたことは覚えています

「坂本屈伸道」が特集された『ゆほびか』の記事を、興味深く拝見しました。

 正座をして背すじを伸ばし、顔を上げて息を深く吸い込んだり、ゆっくり息を吐きながら体を前に倒したりする動作を、祖父が行っているのを見たことがあります。

 ただ、私たちや家族に「やってみなさい」と勧めたことはなく、何をしていたのかは、記事を読むまで知りませんでした。残念ながら「渋沢家に代々伝わる健康法」にはなりませんでしたが、祖父が91歳まで元気で長生きできたのは、坂本屈伸道のおかげなのでしょう。

 当時の政界や経済界の重鎮たちに坂本屈伸道を勧めるなど、その普及に尽力したのも、日本がよりよい国になることを目指して活動した愛の人・渋沢栄一らしい行動だと感じます。おそらく祖父は、自身で実践して坂本屈伸道の効果を体感し、「これを推奨すれば、誰でも簡単に続けられ、日本人みんなが上等な体になり、病気や健康の悩みから解放されるだろう」——そう考えたに違いありません。

伸びをして天を仰ぐのは「宇宙体操」に似ていますね

渋沢栄一氏の孫・鮫島純子さん

 実は私は、台湾の医師の故・荘 淑旂先生から食事や運動・生活習慣など健康維持の知恵を教えていただき、38年前から、荘先生が考案された「宇宙体操」(次回でご紹介します)を毎朝欠かさず実行しています。

 坂本屈伸道は、私にとって健康の秘訣といえる宇宙体操と、基本の考え方が大いに共通しています。

 坂本屈伸道は、体を丸く屈めたあと、屈めていた体を伸ばして、首を少しだけ後ろに反らせます。

一方、宇宙体操は、両腕をまっすぐ頭上に挙げて、足先から頭の先へ体を引っ張り上げるように全身をピンと伸ばし、天を仰ぎます。この、伸びをして天を仰ぐ動きは、坂本屈伸道に似ています。

 深い呼吸を行うのも、坂本屈伸道と宇宙体操に共通しています。

 東洋医学でいう、気(一種の生命エネルギー)・血(血液)・水(血液以外の水分)の循環をよくすることを重視している点も、同じです。

 体の柔軟性が高まり、新鮮な空気をたっぷり取り込んで、全身を流れる血液や気の巡りがよくなれば、体が内から元気になり、健康につながります。

 毎朝、散歩のときに宇宙体操を行うと、全身の細胞が目覚め、天と地のエネルギーが体に充電される感じで、気力がみなぎってきます。

 宇宙体操を続けていると、自分自身の体から発するサインに耳を傾けるようになり、その時々の体調の変化も敏感にわかるようになります。

 渋沢栄一も毎朝、坂本屈伸道を行うことで心身をリフレッシュし、一日の気力を漲らせてきたのでしょう。人生100年時代の今、渋沢栄一が実践した健康体操として坂本屈伸道が改めて脚光を浴びるのは、とても意義のあることだと思います。

次回に続きます

大実業家・渋沢栄一の長生き体操  とは?

 渋沢栄一が82歳から毎日実践し、88歳のときに「そのおかげで健康を保っている」と推奨した健康体操がある。柔術家の坂本謹吾という人物が、大正時代末期に考案した健康体操「坂本屈伸道」だ。

坂本屈伸道についてはこちらで詳しく紹介している。

昭和4年6月1日に撮影された渋沢栄一(右)と坂本謹吾(左)

 昭和の初め、一大ブームを巻き起こしたが、現在では『坂本屈伸道』という著書しか残っていない。

「坂本屈伸道」を実践する渋沢栄一 90歳のときの写真