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【脱インスリンのススメ】医師が語る!インスリン注射を飲み薬に変えられた実例

インスリン注射はやめられます

北海道北見市の医師・岡本卓先生(愛し野内科クリニック院長)のもとには、全国から「インスリン注射をやめたい」と言う、糖尿病の患者さんがよく相談に訪れると言います。

「インスリン注射を始めたら、一生やめられない」
そう思っていませんでしたか? 

「しかし、インスリン注射はやめられます」
と岡本先生は続けます。
「実際、当院では、これまで多くの患者さんが注射から離脱しています。
私はずっと前から、インスリン注射はしないほうがいいと考えてきました。
また患者さんからも、
『インスリン注射はしたくない』
『やめたい』
という声をよく聞きます。
しかし、その声になかなか応えることができないでいました」

転機となったのは、今から14年ほど前に出会ったAさん(70代・男性)という患者さんだそう。

リハビリ病院に入院していたAさんは、退院後、北海道を離れ、関東に住む息子さん一家の近くの介護施設に入所することを希望していました。
Aさんはインスリン注射を1年以上、20単位も打っています。
注射は、本人または家族、もしくは看護師でないと、打ってはいけないことになっています。
ところが、入所予定の介護施設には、看護師がいなかったのです。
「これは困った」と、岡本先生に相談があったそうです。


先生はこう語ります。


「当時は、インスリン注射を1年以上20単位も打っていたら、膵臓からインスリンが分泌されていないというのが定説でした。

そこで私は、本当にインスリンが分泌されていないか調べるために、AさんにCPR検査(後述)を行いました。
すると、膵臓からしっかりインスリンが出ていることがわかったのです。

インスリンが出ているなら、インスリンの効きをよくする飲み薬を使えばいい。
そう考え、新しく出たばかりの、当時は画期的な薬だったインスリン抵抗性改善薬を使ってみることにしました。
結果、それがうまくいき、Aさんはインスリン注射から飲み薬に切り替えられたのです。

以来10年以上、私は希望する患者さんがインスリン注射をやめるためのお手伝いをしています。
その際、必ず行うのが、Aさんにも行ったCPR検査(Cペプチド検査)です。

「CPR」は、膵臓でインスリンが分泌される直前にインスリンと分離される物質で、インスリンの分泌を知る指標になります。
24時間にわたってためた尿から、CPRを測定します。

驚いたことに、2型糖尿患者のほとんどに、十分な量のCPRが検出されました。
インスリン注射を打っている人でも、インスリンは分泌されていたのです。

そこで私はインスリン注射をスパッとやめて、インスリンの作用を高める複数の飲み薬に切り替えました。

それによって、当院ではこれまで83%の人がインスリン注射からの離脱に成功しています。

昨今、新しい薬が次々に開発され、安全でよく効く薬が出てきました。
その代表的な薬が、GLP-1受容体作動薬とSGLT-2阻害薬です。

GLP-1は小腸から分泌されるホルモンで、膵臓にあるGLP-1受容体と結合してインスリンの分泌を促し、血糖値を下げます。

この薬は、食事をして血糖値が上昇したときにインスリンの分泌を高めるので、インスリン注射のように低血糖を起こすことはありません。
また、食欲を抑えるので、肥満も予防できます」(岡本先生)


『ゆほびか』2022年10月号では、インスリンの怖い副作用や、海外の一流医学誌に掲載された論文などを紹介して、なぜ、岡本先生がインスリン離脱を勧めているのかについて、詳しく解説しています。

また、インスリン離脱をした後の食生活や運動習慣のポイントについても詳しく説明していますので、興味のあるかたは、ぜひ『ゆほびか』10月号をお手に取ってみてください。