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トイレ掃除をはじめとした「環境整備」こそ老舗・七福醸造の業績の秘訣

2020/05/18

七福醸造株式会社

社員一丸となって徹底的に「環境整備」に取り組む

 食べものとは、「人に良いもの」と書きます。そこに、深い意味があることに気づかされます。

 私は、「人様の体に入る食品は絶対によいものでなければいけない。誰もが安心して食べられるものをお客様にご案内させていただく」という強い理念のもと、「料亭白だし」という食品をお届けしています。

 商売の原点は「お客様のお役に立つこと」。七福醸造の創業者である私の父(故・犬塚明元)は、「感謝感謝で日が暮れる」が口ぐせでした。

 感謝すれば笑顔になれる。笑顔になれば感謝される。うちの幸場(工場)と社屋には、至るところに「ありがとう」の文字が躍り、全社員「ありがとうございます」が口ぐせです。

白醤油の発酵タンクには「ありがとう」の文字

 うちの幸場と社屋では、就業始まりの1時間は社員一丸となって、「環境整備」を行います。環境整備とは、あらゆるところを徹底的に磨くこと。

 機械や容器、道具はすべてピカピカに磨きあげます。

 もちろん、私自身も参加します。私の持ち場はトイレです。社長時代は18年間、毎日続けていました。トイレの環境整備をした後、便器の中に溜まっている水を、コップにすくって飲むこともできます。

 皆さん「なぜ、そんなことを?」と思われるでしょう。もし今、トイレの水を飲めと命令されたら、あなたは飲めますか。

 環境整備をしていないトイレの水は、どんなに喉が渇いていても飲めるものではありません。衛生的によくないですし、それ以前に気分が悪くなるでしょう。

 しかし、いざ自分が飲むとなれば、便器の隅から隅まで素手で徹底的に磨き上げ、さらにはタンクの中まで徹底的に洗浄します。

 そうしないと、水あかやカビが発生するからです。そして「これでだいじょうぶ」と自分で納得したら、水をすくって飲めます。

 もはや、お茶碗を洗って、水を入れて飲むのとなにも変わりません。

 うちの社員が、自宅のトイレで私の真似をしたそうです。これまでもトイレ掃除は念入りに行っていたけれど、その水を飲むとなったら、気合いの入れ方がまったく違うことに気づいたとのことでした。

「真剣になる」という言葉の意味が、ほんとうに理解できたと言うのです。しかし、自分の命に関わると思えば、もっと真剣になれます。

 そのことを諭してくれるのが、環境整備なのです。

 トイレの水を飲んだ後、感謝する心が生まれ、謙虚な心になれて心も磨かれ、心が輝きます。心が輝くと、人のよいところしか目につかなくなります。

 社長時代は社員の悪いところばかりが気になっていた私が、社員をほめることが増えました。それは、会社の人間関係や業績的にもよい影響を及ぼしています。

環境整備を徹底すると必ず業績が向上していく

 うちは醤油屋なので、タンクや機械、容器などが、塩分ですぐに錆びます。環境整備の深い意味がわかってきたころ、1週間も操業を止めて(中小企業では死活問題です)、タンクに顔が映り込むまで懸命に磨きました。

 訪れたお客様が、「うわっ!」と驚嘆されました。鳥肌が立った、オーラを感じたと言うのです。 

七福醸造の幸場内にある蒸煮管(小麦や大豆を蒸す釜)。
環境整備によって鏡のように周囲が映り込んでいる

 会社の売り上げが芳しくない、景気が悪いときこそ、わが社では環境整備の徹底に時間を取ります。すると、いずれ必ず売り上げが伸びていくのです。これまでの経験上、100%間違いありません。

 私は、すべて天が見てくれているからだと思っています。天が喜ぶことをするのは、私のように、頭のない人間でも打てる手です。

 頭脳明晰な人間なら、自分の考えで打開するかもしれませんが、環境整備は誰でもできます。ただひたすら感謝して、環境整備の徹底に汗を流せばよいのですから。

 環境整備の力は、さまざまな事情に応用できます。例えば、夫婦間がうまくいっていない、子どもとの仲がよくない。

 お金がない、仕事がない、人間関係がよくない……。環境整備は、そうした誰もが抱く不安に対してのいちばんの解決策だと言って過言ではありません。

 まずは、家のトイレから始めてみませんか。水をすくって飲めるほど磨かれたトイレに家族が入ったら、驚きと感謝の心が生まれるでしょう。

 新入社員や、まだ仕事が半人前の人は、会社の机やいす、道具、休憩室、目についたところを、徹底的に磨きあげてみましょう。必ずよいことが起こります。

 環境整備の徹底を実践していくと、やがて真髄がわかってきます。無意識に履き物をそろえます。道路や公共の場にゴミが落ちていれば拾うくせがつきます。

 人と顔を合わせれば、知らない人でも笑顔で挨拶します。そうして、幸せと「ありがとう」が、どんどん社会に広がっていくのです。

「こうじを造るのはこうじ菌。それに塩水を合わせるともろみになり、酵母菌がお醤油の味を造ります。我々人間はなにもできません。お醤油は微生物の力で仕上がるのです。
 私たちが唯一できることは、こうじ菌、酵母菌たちが気持ちよく働ける環境を整備することです」
(犬塚代表取締役会長)

ゆほびかweb編集長も絶賛の七福醸造の白だしはこちら!

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