①余った糖が脳のゴミになり認知症を招く
②甘い物の食べ過ぎで脳の機能が狂う(本記事)
③アルツハイマーを引き起こす4つのメカニズム
④腸の状態が脳に影響する。歯周病菌も脳に炎症を起こす一因
⑤殺菌・整える・育てるの3ステップ! 腸から脳をスッキリ掃除する熊谷式食事術
甘い物の食べ過ぎで脳の機能が狂う
では、脳の糖尿病はどのように起こるのでしょうか。そのメカニズムに関与するのが、「血液脳関門」です。
血液脳関門とは、その名の通り、脳神経細胞へ有害な物質が侵入するのを防ぎ、必要な物質だけを通す関所のことです。
糖は、脳細胞最大のエネルギー源ですから、当然、血液脳関門を通過することができます。
その運搬を担うのが、「グルコース・トランスポーター」という輸送体です。これが糖にくっつき、血管から脳神経細胞へと糖を運ぶのです。
グルコース・トランスポーターには、血糖値が高いときは輸送量を減らし、低ければ輸送量を増やす機能があるのではないかと私は考えています。
なぜなら、脳神経細胞の働きを一定に保つには、必要な物質をちょうどいい量だけ供給しなければならないからです。
実は、脳の血圧に関しては、このしくみがあることがわかっています。血圧の変動に関わらず、脳内では一定の血流量となるように調整されているのです。糖に関しても、同じしくみが備わっていると考えるほうが自然です。
血糖値を急激に上げる食べ物が危険

説明が長くなりましたが、ここからが本題です。グルコース・トランスポーターの脳の糖調節機能を狂わせてしまうのが、現代人の食生活です。
白米やパン、砂糖たっぷりのお菓子やジュースなどの飲料水は、血糖値を急上昇させます。
血糖値が急激に上がると、大量のインスリンが分泌され、今度は血糖値が急降下します。これが心身に大きな害を与えるとして、近年、注目されている「血糖値スパイク」という現象です。
血糖値スパイクが起こると、そのたびにグルコース・トランスポーターはめまぐるしく働かなければなりません。それが続けば、やがては疲弊し、働きが悪くなると考えられます。
その結果、脳内での糖の供給調整ができなくなり、脳の糖尿病を発症するのです。
血糖値スパイクは多くの人が日常的に起こしているため、糖尿病ではない人も、脳の中だけが糖尿病になっていることもありえます。食後の強烈な眠気は、血糖値スパイクを起こしている可能性大ですから、思い当たる人は気をつけたほうがいいでしょう。
(次回③に続きます)