神社で願い事をするとき気をつけたいこと
多くのかたは初詣に行ったり、受験や出産を控えて祈願に行ったりと、節目節目で神社に参拝する機会があるでしょう。
せっかくですから、形ばかりの習慣ではなく、もっと有意義にとらえて、神様とつながる時間を大事にしてみませんか?
神社で願い事をするにあたっては、次のようなことに気をつけるといいでしょう。
まず、「どんな神様にお願いしているのか」をちゃんと意識しましょう。祭神のことをまったく知らずに参拝するより、「こんな神様」と具体的にイメージしていたほうが、願いも伝わりやすくなります。
また、日本にはたくさんの神様がいらっしゃいますが、それぞれに特徴があり、役割や得意なことも異なります。自分のお願いの内容によって、適切な神様を祀っている神社を選んで参拝するのもいいでしょう。
ただ、人と人との間に相性があるように、神社の神々と私たちの間にも相性があると私は考えています。多くの人に親しまれている有名な神社でも、なんとなく自分には合わないと感じることもあるはずです。
その点、産土神社や氏神様はあなたとつながりの深い神様ですから、相性はいいはずです。特別な願い事があるときだけ神社に行くのではなく、日ごろから近くの神社参拝を心がけるのは大事です。
そして、もし願い事がかなったのなら、必ずお礼参りにいくこと。これもたいせつです。
さまざまなご縁をつないでくれる言葉
とはいえ、なかなか神社に足しげくは通えない、という人も多いことでしょう。そこで、どこにいても神様とつながり、願い事を伝えられる言葉をご紹介します。
それが、古神道の祝詞の一節である「早馳風神取り次ぎ給え」です。「風神」にお願いして、自分の願いをかなえることのできる神様に取り次いでもらえる言葉です。
これを繰り返し唱えることで、神様や人、さまざまな物事とのご縁をつないでもらえます。結果として、願い事がかないやすくなったり、よい出合いに恵まれたり、あなたの中の思わぬ才能が開花したりすることもあるでしょう。
なお、風神は志那都比古神(しなつひこのかみ)という神様のこと。『日本書紀』では、伊弉冉が朝霧を吹き払った息から生まれたとされています。
志那都比古神を祀る神社では、奈良県の龍田大社が有名です。また、伊勢神宮の外宮と内宮の両方に祀られている唯一の神でもあります。
風神がさっそく縁をつないでくれた
実は私も、この風の神様にはお世話になっています。
あるとき大阪に出張があり、奈良まで足を伸ばして龍田大社に参拝しようと思っていました。すると、大阪在住の経営者から「話があるからその日に会えない?」と連絡をもらいました。「奈良へ行くつもりだから」と断ろうとしましたが、「それなら車で送ってあげるから」と親切におっしゃってくださったのです。
しかもその話というのが、伊勢神宮の数ある祭典の中でも特に由緒のある神嘗祭に参加しないか、というものでした。地元の人でもないとなかなか参加できない行事(新米を乗せた船を伊勢神宮を流れる五十鈴川に浮かべ、おおぜいで引く)に誘っていただいたのです。
おかげで貴重な体験ができ、私は「風神がさっそく縁をつないでくれた!」と喜んだものです。
その後も折にふれ、この言葉を唱えていると、仕事のいいアイデアがひらめいたり、直後に思いがけない依頼が舞い込んだりといったことがよくあります。
ある格式の高い経営者向けセミナーに、講師として招いていただいたこともありました。講演者の多くは、誰もが知っている有名企業の経営者や高名な学者で、登壇できるのはたいへん名誉なことです。
もちろん、ビジネス関連の講演をしたのですが、神道についても、少し触れさせていただきました。「こんなチャンスをいただけたのは、神道の教えを広めるために八百万の神が後押しをしてくれたおかげ」と思ったからです。