不思議とストップがかかった出来事
逆に、進もうとしても「そっちじゃありません!」と、急にシャッターが下りるようにストップがかかることもあります。
長野で3階建てのビルを借りようと契約し、計200万円のお金も振り込み済みでした。
次に家具が必要だから、家具屋でイスや机を買おうとしたら、クレジットカードの機械が壊れていて、買い物できなかった。「申し訳ありません、こんなことは初めてです」と。
しかたなく次の家具屋さんへ行くと、今度は「商品の在庫がなく、取り寄せに1カ月」と。結局、家具を買えないまま帰ってきました。
その夜、不動産屋が家に来て、土下座する勢いで「オーナーの気が変わり、どうしても貸す気になれないというから、白紙にさせていただけませんか」と言うんです。
もう契約して、お金も振り込んでいるし、本当なら「来週には家具を搬入することになってるんですよ!」というところですが、その家具がなんの偶然か買えなかった。何か意味があるんだろうと、やめにしました。
結局なんとかなる、なるようになる
その翌週、アメリカのボストンにあるサドベリースクール(※)に娘を通わせようという話になりました。
※アメリカのボストンにあるサドベリー・バレー・スクールに共感し、同じ理念の下で運営している世界中の学校の総称。
テレビ番組で紹介されたのを見て、「ここに行こう」って、家族でアメリカに行くことになりました。もし長野で不動産を借りていたら、アメリカに行けませんでした。
アメリカから帰国したときもそうです。ビザの更新手続きを頼んでいた弁護士が急に脳梗塞で入院することになり、必要な手続きができず、アメリカにいられなくなって、泣く泣く帰国したのですが、直後にリーマン・ショックが起こりました。
帰国前に不動産などの資産を処分したんですが、実は一番高値で売れていたのです。あのままアメリカにいたら資産がなくなり、今ある八ヶ岳の研修センターは買えていません。
アメリカにいられなかったから、娘の学校を作りたいという事情が生じ、それが東京サドベリースクール設立につながった面があります。
今、八ヶ岳など全国でサドベリースクールができていますが、そういう偶然の積み重ねがあったんです。
人間は「こういうことをやりたい」「こっちに行きたい」といろいろプランしても、実際はしきれないところもあります。うまくいくときも、方向を変えられるときもある。目に見えない力が働いているんでしょう。
ですから、僕が一生で最後に書く本があるとしたら、きっとタイトルは『なんとかなる』。そしてもう少し長生きしたら、最後は『なるようになる』。それが自分の書きたいことなんじゃないかなと(笑)。
(次回に続きます)