当時、最先端の学者だった空海の教え。それは、「財運を招くカギは、自分の脳と体である」というもの。この現代にも通用する財運観に学ぶ「空海の財布術」の真髄をお届けします。
空海は学者であり社会起業家でもあった
真言密教の開祖として伝えられている弘法大師・空海ですが、その実態は、単なる宗教家ではありません。
当時のあらゆる学問に精通し、それらを日本にもたらしたという意味で、新分野を切り開く最先端の学者だったといってもよいでしょう。
そして、空海はビジネスの天才でもありました。空海が作った、日本最古ともいえる秀逸なビジネスモデルが、著名な「四国八十八箇所巡礼」です。
巡礼する人々は、心の支えとなる生き方を教えてもらい、お寺はそれによって維持されます。これは、1200年にわたって、お寺の経済を支えるしくみになりました。
利益だけを求めるのではなく、多くの人を幸せにする社会貢献型のビジネスを発明したという意味では、志の高い社会起業家であったともいえます。
空海の財運術は欲望を否定しない
空海は「貧を救うに財をもってす、愚迷を導くには法をもってす」と言いました。
お金に困っている人にいくら高邁な説法をしても、何の助けにもなりません。お金に困っている人には、まずお金を稼ぐ方法を教えねばなりません――と、いう意味です。
今の時代、自らを救い、他人をも救うためには、経済的に力を持つ必要があります。そして、社会に貢献するために、賢くお金を使い、お金を活かし、お金を社会に循環させていく必要があります。
これまで多くの宗教は、欲望を悪として、抑圧してきました。しかし、欲望を否定しても、社会はよくなりません。
空海は、「煩悩即菩提」、「すなわち欲望の中にこそ悟りの種がある」として、欲望を肯定しました。
欲望そのものを目的にするのではなく、欲望をコントロールし、自分や他人を幸せにするためのエネルギーとして使うことがたいせつなのです。
自分と他人、そして人類と地球の未来を救う人とは、欲望をエネルギーに変え、欲望を実現するための努力をする人です。そして、それが実現したあかつきには人に貢献しようとする人です。
上手に財布を活用することで、財運は必ず高められます。そしてそれは、他人を幸せにすることでもあるのです。